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耐力壁は強い方がいい?

一級建築士でニコハウス設計室代表の鈴木です。

今日の内容は耐力壁。

耐力壁の役割は横方向に地震や風で力を加えられた際に、その力に対し耐えようとする壁。

その強さは倍率というものであらわされ建築基準法では0.5倍~5.0倍まで存在し、許容応力度計算をすると7.0倍も存在します。

倍率でお伝えしてもよくわからないですね(汗)

 

①どのぐらいの力の検討をしているのか?

1.0倍で約200kgの横方向の力に対し、2階の床や平屋なら小屋部分が約25㎜ぐらい横ずれ想定し、元に戻るということです。

5.0倍の壁だと約1.0tもの力に耐えられる壁になるということです。

このように耐えられる力の強さだけに着目すると『なるべく強い耐力壁ばかりにしてください』と思ったはずです。

でもこの考え方は間違いになります。

5倍の壁で約1.0tに耐えられるということは、足元(土台部分)が1.0tの力に耐えられる『強度』がないと成立しません。

足元が弱い場合は引き抜かれたり、何かしらの破壊が起こることになります。

特にリフォームで『地震が心配だし耐力壁をたくさん入れておきました』のような工事をしてしまうと耐える前に土台や2階の梁の接続部分で破壊が起こる可能性があります。

強くしたことによって破壊する。

1.0tの力に耐えられるようにする一般的な方法は、コンクリートで基礎の立ち上がりを造り、ホールダウン金物で基礎と緊結する。

基礎を造るという工程をしない場合、耐力壁はなるべく弱いものにした方がいいでしょう

そうしたことを踏まえると強い耐力壁ばかりを設置することが地震に対して強い建物を造ることにはつながらないということです。

出来ることならなるべく弱い耐力壁ばかりを使って、建物全体で地震に耐えられる強さにした方が無理な力がかかりません。

そういった計画は基礎のやり替えが難しい耐震リノベーションで特に有効な手法です。

 

必要な壁の量はどうやって決めているのか?

地震に対しては建物の重さできまります。風の揺れに対しては、建物の立面図の面積で決まります。

このことからも家はなるべく軽いほうが有利になります。

重くなるほど、耐力壁の必要な量が増えるということになります。

だから瓦は使わないほうがよい、ということではなく瓦を使う場合は軽い屋根よりは多く耐力壁がいるよということです。

 

耐力壁はバランスも大事!

基礎と強い壁だけでなく、どの方向から押されてもびくっとしないバランスが大事です。

片足で立っているよりも両足で立っている方が人間は安定します。

片足だけで横からの力に耐える、両足で立って横からの力に耐える、同じ力でも安定感が違います。

専門用語で『重心と剛芯』

大きな通り沿いの建築は道に対しての窓がたくさんあるため、片足立ちの人間のようにバランスが悪いためひねって倒れてしまいます。

バランスよく耐力壁を配置することで両足立ちとなり、コマのようにバランスよく立ち続けます。

窓はたくさんほしいけど、壁は必要という時は金属性のブレースを入れることで対応が可能です。

 

今回お伝えしたかった内容はとにかく強く造ればよいということではないとうお伝え。

しつこいようですが特に感でやってみた耐震リフォームや、『昔丈夫に造ってくれた』みたいなパターンにちょっとした落とし穴があるように思います。

構造計画は設計士にお願いした方が無難だと思います。

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特に1981年~2000年に建てられた新耐震基準の建物は耐力壁の量だけ増えて、足元を固めるという概念なく造っていました。

そういた建物が能登半島地震では多く倒壊しています。

さきほどからお伝えしている通り、『壁だけ』強くしたからその弊害が起こってしまっています。

こういった建物は足元、柱の頭部分を早急に補強すべきです。

高い買い物になりますので、少しでも心配ならお声かけされるほうがいいでしょう。

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