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構造が得意か?見分ける方法。

豊橋市の工務店。ニコハウス設計室代表で一級建築士の鈴木です。

どの会社も『耐震等級3が当たり前』となってきましたが、それが書いてあるだけで信頼するのはちょっと安易な気がします。

あちこちで見かける上棟後の骨組みや上棟写真を見ると、知った方だと構造が得意か不得意かすぐにわかります。

不得意な会社はおそらくばれていないと思うでしょうが、少なくとも私にはばれてしまいます。(笑)

どこを見ているのか?ということを少しだけ書きたいと思います。

構造が上手な家は一般的に30cmを超える梁は必要ありません。

やたらと30cmを超える梁があったり、場合によっては45cmもある梁もあったりするのですが、そういった梁は構造費用が高くなるだけでなく、自重が重いため『たわみ』と呼ばれる自分の重さで自然に沈むことにも配慮しなくてはいけません。

 

①丘建ての柱や耐力壁があるか?

こういうパターンは1階よりも2階がちょっとだけ小さい家や2Fのバルコニーが1Fの屋根兼用になっている家でめちゃくちゃ多く存在します。

2階の耐力壁は床梁を伝わって、1Fの柱に力が落ち、基礎→地面へと伝わってきます。

赤い点線の部分に柱を入れるべきなのですが、おそらくプラン上できなかったのでしょう。

地震の力は軒の梁にかかり、筋交いで受けてもその下に柱がない。そのため2階の床梁の大きさが27cm以上になるでしょう。

 

②二次梁がどのぐらい存在するのか?または3次梁は存在しないか?

図のように荷重を梁が受けるのですが、まず青い梁が荷重を受けます。

真下に柱があれば素直に地面に伝わりますが、梁で受ける場合はその荷重は梁を伝わり次の部材へと力が流れます。

このパターンは屋根加重を受ける母屋と呼ばれる材料に多いのですが、これを床梁でやってしまったパターンを書いています。

さらに青い梁の荷重が赤色の梁に伝わる。

何が悪いかというと、赤い梁は青い梁が荷重で沈んだ分も受けることになるのでたくさん『たわみ』ます。

このような梁のかけ方は、『無事上棟しましたー♪』的な写真を探すと意外と多く存在します。

梁の大きさは36cm以上ぐらいになっているんじゃないでしょうか?

さらにやばいと青い梁→赤い梁→緑の荷重という流れの3次梁になるパターン。

構造を知らずに間取りをするとこのような梁のかけ方しかできない家が存在します。緑色の梁は45cmとかになりさらには集成材と呼ばれる構造強度の強いものよりもさらに上の強度をもつ梁などになることでしょう。

このことから『梁が大きいから丈夫』というのがうそであることがわかると思います。必要以上の大きさの梁にしたところで意味はありませんので、梁は小さいほうが構造費用が抑えられるでしょう。

 

③屋根加重が伝わっているか?

建物はサイコロのように6面体すべてが耐力要素を持った面で囲まれることでしっかりした強度を発揮します。

屋根から壁に荷重を伝えることはとても重要です。

この場合屋根を6面のふたと考えるパターンと考えないパターンが存在します。

屋根をふたとみなす場合

耐力壁を屋根まで張りのばす必要があります。そうしないと2階の壁や柱に荷重が伝わってきません。

そのために耐力壁の上の屋根を支える部分に登り梁などの存在が必要になってきます。

これがないケースが多いので、注意が必要です。

屋根をふたとみなさない場合

屋根は構造上とりあえず無視はしておいて軒高さにある梁で水平面の構造をとる。(屋根完全無視ではありません)

火打ち梁と呼ばれる梁と梁の隅に斜めに接続されている部材にたよる方法です。

火打ち梁は構造的にはそれほど強いものではないため、細かい区画割をしてたくさん入れる必要があります。

特に耐震等級3をとろうと思うと火打ち梁だけだとに2階に耐力壁が多めにないと成立しないでしょう。

その場合、1階にも構造壁が多めになるため開放的なプランになりません。

耐震等級3にするといいプランにならないといわれる方はおそらくこういった内容のことを知っていないと思われます。

 

『上棟しました♪』の写真をみるとこんな内容を見てしまうのが私の癖です。

そしていまいちな構造を見つけてしまうと、とても残念な気持ちになります。

耐震等級3にはなっている(かもしれない)ですが、その梁のかけ方になってしまうプランはどうだろう…と。

ちょっと難しい話だと寄棟と呼ばれる屋根の交点の下に柱がないのはかなりいまいちな構造です。

耐震等級3は力ずくで取ろうとすればできなくはありません。その分梁がどーんと大きくなるわけなので。

素直に地面に伝わっていく、オサイフにもやさしい構造。

 

いい構造で住まいを計画しましょう。

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