HOUSE 住まいの情報
シロアリ対策は何にするか?
今回のテーマは地味な『シロアリ対策』です。
お施主さま自身で選ぶというよりは、どちらかといえば工務店やハウスメーカー任せの方がほとんどだと思います。私も建築を仕事とした最初の頃は気にしたこともありませんでした。
先に結論をお伝えすると『初期コストよりもその後のことが大事!』です。
30年後に『しまった!』と思わないようにすることが大切です。
まず初めに一般的に行われているシロアリ対策としては化学薬品による処理。
土壌に薬をまき、地中にあるかもしれないシロアリの巣から上がってくることを防ぎます。そのうえで、建築基準法でも定められている地上1Mまでの木部への処理を現場にて行います。
保証はほとんどの場合5年となっています。
メリットとしては『初期費用がお値打ち』です。
会社によるとは思いますが、新築お祝い価格といわれ3万円~ぐらいで施工+保証をしてもらえるのではないでしょうか?
とってもお値打ち・・・・ですが、5年ごとの再調査、再施工を求められますのでその都度20万円~が必要です。40年住むとして、合計8回160万円!なかなかの費用です。
なぜ5年ごとに再施工をしないといけないのかというと、化学薬品は5年ほどで揮発してしまうからです。
5年後はシロアリに対してノーガードになりますので、再施工が必要になります。
もう一つ、再施工の時には建物が出来上がっているわけなので、塗布できない部分も出てきます。まあしょうがないということです。また床下や構造体部分を使った空調方式などは、薬品を室内にばらまくことになりますので、絶対にやめておきましょう。
人体にもオサイフにも優しくないため、弊社ではお勧めしていない方法です。
建売などに代表するローコストなどはほとんどこの方法を採用しています。
次にご紹介するのは『ホウ酸処理』弊社標準のシロアリ対策です。
化学薬品と違い『初期費用』は20万円~ぐらいの金額です。化学薬品に比べ、建物坪単価は1万円弱あがります。それでも採用している理由ですが、
ホウ酸は目薬などにも入っているぐらい人体への影響が少ない材料です。(食塩ぐらい)
そのため、弊社で採用している床下エアコンなど、構造部分が室内化するような空調方式でも心配なく使えます。
またホウ酸はさきほどの化学薬品のように揮発することなく、木部表面で結晶化するためいつまでも効果が続きます。そのため15年の保証の内容では、5年ごと点検をするのみとなり、再施工の費用はかかりません。その先も自身で点検しておけば、費用はかからず半永久的に効果を発揮し続けます。ただし、水がかかると溶けてしまうのでその点だけ注意が必要です。
40年間住むと、化学薬品に比べ140万円お得になります。人体にもオサイフにも優しい!
次に『注入材』といわれる柱や土台を使うという対策。緑色の柱といわれるものです。
プレカット加工前に柱や土台などに薬剤を加圧注入する方法。耐久性は何もしていない材料に比べ5倍ぐらいアップするそうです。
私は採用を迷いましたがやめました。
理由ですが、一般的な化学薬品などと同じように人体には少なからずよくない(だろう)という点、一番気になったのはプレカット(木材加工)前に加圧注入している点です。プレカットをすると、処理されていない部分が表面に現れます。
そこはやはり手による薬品処理が必要になりますので、結局化学薬品とお同じではないのかと感じました。
またその部分の再施工はできないため、疑問に感じました。
初期費用が一般的な構造材よりも高くなりますので、オサイフに優しいとは言えず、人体にもいいとは思えませんので私はホウ酸を選択しました。
最後にヒノキやヒバなど耐久性の高い樹種を使い、無処理とする方法。
フラット35の仕様書にものっている方法です。
当たり前ですが、費用は一番安くすみます。自己点検をしっかりしていればこの方法はありではないかと感じます…が、私が住む愛知県豊橋市の海沿いはシロアリの生息が多い地域なのでよほどこまめに点検できる人以外はやめた方がいいと思います。
海岸から離れた人たちには向いているでしょう。
人体にも、オサイフにも優しい無処理。
最後に、
シロアリが怖いのは木材を食べてしまうからということではありません。
木材を食べられたことにより、構造強度が著しく低下するからです。
発見ができれば、対策をし再補強することは可能ですが、被害に気付いた時には大変なことになっているのがシロアリです。
各地の大きな地震でも建物の強度不足と同じよぐらい、シロアリによる強度不足倒壊も良く見聞きします。長く安心して住むためにも、シロアリ対策は手を抜かずしっかり検討することが大切です。