HOUSE 住まいの情報
湿度を調整する方法。
豊橋市の工務店。ニコハウス設計室代表で一級建築士の鈴木です。
今回のテーマはよく質問をいただく『湿度』について。
私自身も最近大きな発見をしましたので、それを皆さんにおつたえしつつ、みなさんも高原のようなさわやかな空気環境になるように『湿度』にチャレンジしましょう!
- 最近私が知った反省点
弊社は高気密高断熱住宅をつくる関係で、夏用のエアコンはそれぞれの住まいに1台のみでご提案をしています。
24℃程度で冷房運転をすると、住まいによりますがおおむね25℃台ぐらいの快適な室温になります。
それでも湿度がなかなか下がらず、70%近い湿度の場合が多くありました。
室内干しをされる方も多いので、なんとかならないものかとずーっと悩んでいましたがようやくその答えがみつかりました。
対策前の室内の温湿度と床下の温湿度
- ダメだった原因
25℃ぐらいで安定した室温になるのはいいのですが、そのせいでエアコンの吹き出し温度が露点温度以上になっていました。
エアコンは動いているのですが、除湿させるための結露が一切起きていない状態。
除湿は結露でしか絶対にできません。
結露がおきていないということは室内空気の除湿が全くされていないということ。
エアコンの外にあるぽたぽた水がでてくるところ、乾いているのは除湿が出来ていない証拠。
だから70%もの相対湿度があったわけです。
- 完成引き渡し前物件にて湿度対策と実験
室温が一定に安定するのは高気密高断熱住宅のいい点ですが、その部分は除湿にとってはデメリット。
そこでエアコンの除湿機能を適宜有効に使うことが大事だとわかりました。
除湿モードは室内の相対湿度を下げる目的で動きます。冷房運転は室内の温度を下げる目的で動きます。
そもそもの目的が違うのです。
除湿運転にも設定温度がありますので、思い切って18℃で除湿をかけてみました。
そうすると、見事なまでにエアコンのドレイン配管からぼたぼたと水が落ちてきます。
しっかり除湿が進んでいる証拠です。
対策後の室内の温湿度と床下の温湿度
- 結論
部屋の温度が一定になると冷房運転では除湿はできません。
その場合、エアコンに熱を加えフル稼働をさせる、もしくは今回のように除湿運転にするしか方法がありません。
エアコンに熱を加えるぐらいなら、除湿を18℃で運転した方が効率がいいように思えました。
ただし、エアコンからはめちゃくちゃ冷たい空気が出てきますのでやり過ぎは注意が必要です。
個人的には日中だれもいない時間帯に除湿をかけておいて、帰ってきたら冷房運転に切り替えるのがいいかなと思いました。
18℃で除湿運転をした際に1日の電気使用量が8.3kwでした。
太陽光モニターなので細かなことはわかりませんがおおむね1時間あたり300~400Wで動いてます。
( 引き渡し前の物件で、家電など使っていないのでほぼあっているはず)
太陽光モニターの1日使用電力と1時間あたりの使用電力
これを2日間やったところ、
約26℃ 相対湿度70%だった室内の環境が 約21℃ 相対湿度61%まで下がりました。
絶対湿度という専門的な単位でお伝えすると、空気1立米あたり16gほどの水分だったのが11.5gぐらいまで減りました。
使った電気は2日間で約16KW。
さすがにこの環境は寒すぎますので、この水分量を保ったまま、26℃程度まで室温を上げたいところです。
そうすると26℃ 相対湿度50%以下の高原のようなさわやかな涼しさのある住まいへと生まれ変わります♪
理想的な室内環境!!!
ちなみにユニットバスのドアを閉めたままにしていたため、ドア部分で結露がおきていました(汗)
長々と湿度のことを書きましたが、私自身がこれまで知らなかった部分や気づけなかった部分があり、それを発見した喜びもあり皆様にお伝えさせていただきました。
こうした室内環境は高気密が大前提になりますので、気密の悪い家ではなかなか実現できませんが、暑い夏にさらっとした室内環境はこれ以上ない快適環境です。
湿度が低いと必要以上に室内を冷やす必要がなくなりますので、体にやさしい環境になります。
みなさまもぜひご自宅で試され、快適な夏をすごされるといいなと思います。
暑い日が続きますのでくれぐれもお身体ご自愛ください。