COLUMN住まいの情報

2024年10月の記事(29件)

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美しい木造空間を考える相談&見学会のお知らせ

up - お知らせ
豊橋市植田町で施工中のスタッフ自邸。梁表しの美しい木造空間を体験できます。断熱、気密施工も終わり、木製サッシ等の開口部の工事も終わりました。日本建築らしい連続的な梁が並ぶ美しい空間になっていますので、構造、断熱、気密の勉強と合わせてぜひご覧ください。みなさまよろしくお願いいたします。

木製サッシの取付。

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設計アシスタントの鈴田です。先月末、開口がすべて取り付けられて建物らしくなってきました。自宅ではLDKの南面の大きな開口はすべて木サッシ、他は樹脂サッシのトリプルガラスを使っています。木サッシの施工は私自身初めてだったので詳細図から施工までとても苦労しました。枠だけで約60kg、ペアガラスを使っているのでガラス1枚で60kg引違いなので×2で開口部一箇所で180kgの重さが常にかかっています。 当日は道が狭いのでトラックが現場に入れず、大工さん、板金屋さん、弊社スタッフ総勢7人がかりで手運びです。あらかじめ施工してあったアングルの上に乗せて仮止めしました。室内空間は化粧柱を等間隔で見せたかったため、木製サッシはその柱ピッチに合わせてオーダーしました。柱より外側に取り付けるため、上下につくアングルが重要になってきます。上は重さで前垂れしないようにサッシ巾分の長いアングルを、下は下枠が乗るので重さに耐えれるような厚みのあるアングルを鉄骨屋さんにオーダーで作っていただきました。ガラスは後からつけたのですが化粧柱が邪魔してなかなか入らず…、取っ手を外すという方法でサッシ屋さんに3時間ほどかけて入れていただきました。自宅の経験を活かし、次回からはスムーズに施工できるようにしたいです。 木製サッシは熱伝導率が低く、断熱性能に優れています。またへーべシーベという機構を使っていて開けるときに障子(木製サッシの窓)が持ち上がるので約70kgほどある重い枠とは思えないほどスムーズに開けることができます。お値段もそれなりにしますが、自宅ではここがメインとなるため力を入れました。 取り付けが完了すると外との境界を感じさせない、やさしい空間になりました。絶賛工事中の平屋は現在構造躯体と木サッシが見ていただける状態です。等間隔に並んだ化粧梁で表現された室内空間は日本の古来の建築に習い、何度見ても日本らしい美しさを感じます。構造と断熱の大切さを学ぶ現場見学会はこちらから。ぜひみなさんにこの姿を見てもらいたいなと思いますので、この機会にご予約ください。ご来場お待ちしています。

内覧会の感想。

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一級建築士でニコハウス設計室代表の鈴木です。内覧会へお越しいただいたみなさま、どうもありがとうございました。内覧会でみなさんに見ていただき、多かった声として① 坪数以上の広がりを感じさせることのポイントが分かった気がする② ゆっくりしたくなる空間にするにはどうしたらいいか理解できた③ 上手に間取りをすると、欲しい空間が手に入りそうのような感想を持っていただけました。14日(月・祝)あと一日だけ追加で内覧会をさせていただきます。交通の便もいい場所なので、ぜひご体感ください。必ず今後の参考になるはずです。ご予約はこちらから。 今回の住まいでお施主さまの要望の中に『人目を気にせず、夜風にあたってゆっくりお酒を飲みたい』というものがありました。南道路で人や車の通りもあり、落ち着きのない庭を懸念されていましたので思い切った目隠しをさせていただきました。そのおまけ的な感じで外のキッチンも備えています。でもそのおかげで昼間だけでなく夜もカーテンなしでも生活できるぐらいに落ち着いた中庭空間が広がっています。『人目を気にせず夜風にあたってゆっくりお酒を飲みたい』ぴったりな空間が出来上がっています。リビングからの関係性もちょうどよく、キッチンにたった奥様からも眺められるちょうどいい距離感のデッキスペース。外でバーベキューをしても、かたずけが簡単に出来る外キッチン付き。照明はなるべくスタンド的なものを多用すると、光の重心が下がりより落ち着いた空間に変わります。今週からは気温が下がってくるそうで、お引渡しの頃には毎晩のように活躍する庭になることでしょう。まだ少し蚊がいたりしますが、気持ちのいい中庭的な外空間。夜の見学もおすすめです。私の予定が空いていれば、夜見てみたというのも対応できるかもしれません。備考欄にその旨ご記入ください。ご予約はこちらから。みなさまのご来場をお待ちしています♪

庇の長さを検討しよう!

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一級建築士でニコハウス設計室代表の鈴木です。ずいぶん涼しくなってきましたが、まだまだ日中30℃を超す日があります。この時期の日差しは冬至に向かって太陽高度(太陽の高さ)が低くなってきますので、対策をしておかないと日中部屋の中がかなりの温度になってしまいます。点検などでよく質問される『日射遮蔽』について、庇の長さと合わせてお伝えいたします。 以下は全て『豊橋市 真南 12時ころ 窓上から50cmに軒』の話なので、真南から角度が振れるともう少し室内側に日差しが入るという想定が必要です。まずは夏をみてみましょう。夏至の話をされがちですが、実際はお盆頃の方が暑いので8月15日を目安としています。お盆頃の日射熱を室内に入れないようにするには90cmは庇をださないと家の中に入ってきます。当然12時ころの話なのでその前後ではもっと長い庇かタープが必要です。当たり前ですが南の庇が90cmより短い場合は日射熱が室内に入り込みますので、冷房エアコンとの格闘がはじまります。カーテンを閉めても、部屋と窓の間が暖まり、部屋内に侵入しますので、なるべく外で防ぐことが大事。 続いて真冬ですが今度は太陽の角度が30℃程度と低いので室内の奥まで日射が届きます。夏の場合と違って、日射が入るのは室内が暖められ有利に働きますが、真南の時よりも東西に振れた方がより奥まで日射が届きます。180cm庇があっても入ってきますが、申し訳程度の日射になってしまうので、冬のことを考えると南側の庇は120cm程度までぐらいにした方がよさそうです。 最後にこの時期、春、秋分。この時期の難しい点は、春は3月~4月で部屋に暖かい日差しがほしい…、けど最近の9月の日差しは暑くていらない…、という点です。落葉樹で対策するということもおそらく過去のブログで書いている気がしますが、実際のところはそれなりの大きさの木で、葉が生い茂っていないと防ぐのはなかなか難しい。一番簡単に防げそうなのは、やはりタープです。春先は外して、秋はタープで対策が一番効果的です。 こういった検討を重ねながら、みなさんの家の『庇の長さ』を決めています。弊社で多いのは90cm~120cmほどの庇。あとは状況に応じて、付属部材を提案するということをしています。断熱や気密も大事ですが、日射の影響も室内環境には大きな影響を与えます。特に…、最近は軒のない家を街中で多く見かけます。確かにスタイリッシュでかっこいいでしょう。ただ庇がついていないので、夏から秋にかけての日射がふんだんに室内に入り込みます。理解したうえで提案をうけ、納得した状態で日射熱が入ってしまっているならしょうがないと思います。ただかっこいいからと軒のない家にすると、夏場はとてもいられない住まいの出来上がりです。また軒のない家は雨対策もめちゃくちゃ重要。ものすごーーーく検討して、軒の長さを決めましょう。 軒無しだけど、大丈夫かな?と思ったそこのあなた。しっかり確認しておきましょう。お問い合わせはこちらから。

1年点検でわかる脱炭素。

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一級建築士でニコハウス設計室代表の鈴木です。豊橋市で昨年施工させていただいたEさま邸の1年点検でお伺いしてきました。25坪とコンパクトな住まいです。家具デザイナーらしく、いつ行ってもきれいに飾りつけされていて気持ちいい。1年経つと、当たり前ですが1年間の住みごこちがどうだったのかをお伺いできます。この住まいは踏み天井と呼ばれる昔ながらの天井で、2階の床の裏側が見えています。大きな梁に対して小梁と呼ばれる床合板を支持する小さな梁がリズミカルにかかっています。普段は見えなくなる部分ですが、この住まいでは目視できますので、確認すると1年の間に大きな梁は乾燥が進み幅が小さくなっていました。構造的には問題ありませんが、約5㎜ほどは縮んでました。普段、家具をデザインされている方なので木のことはよく理解されています。建築当時コストを抑えるため、プライベートな2階は思い切ってラワン合板を床に使用しました。合板の場合、床材と違い『実(さね)』と呼ばれるお互いがジョイントをする差し込みが出来ず、突き合わせるよう施工します。施工当時も『ささくれなど、どうだろう?』と少し不安だったのですが、普段から木をよく知るEさまなので、ご自身でオイルまで塗っていただきいい飴色変化をしています。引き渡し当時はささくれなど出たようですが、今は馴染んでむしろいい雰囲気。オイルを塗り、よく歩くところは人間の足裏で少しづつ研磨され、いい艶感になっています。私たちだけでなくお施主さま的にもラワンの床ありだよねーってお話になり、理解いただける方で費用押さえたい方には今後おすすめしてもいいかなと思いました♪コンパクトなので、大きな収納部屋は取れていませんが、上手にミニマルに住まわれているので雑多な感じはせず、しっとりした空間に癒されます♪1階と2階の温度差について、お話が出ました。1階には大きな窓があり、季節と時間によって日射は入ってきます。また日射が入ってなくても、地面からの熱の放射で暑く感じてしまいます。タープをかけるのが一番高価的ですが、植栽などが眺められなくなるので悩むところです(汗)今年はとりあえずタープなしで過ごされたそうですが、冷房エネルギーとは常に闘いが起こることになりますのでなるべく遮蔽することを改めてお勧めしてきました。今の時期の日射はまだ残暑が厳しいので必要ありませんが、問題は春先。日射をふせぐということは、3月頃の肌寒い時期の日射が入ってこなくなるということです。どちらを選ぶのが大切なのかというと、日射エネルギーを暖房エネルギーとして利用する方が有効です。そのため夏場は屋外で日射遮蔽をすることをお勧めしています…、来年はぜひ。 コンパクトながらこの住まいでは階段下をヌックとして利用しています。一般的には物入にしてしまいそうですが、計画当初の通りしっかりヌックで活躍。マットなどを敷くか迷われたそうですが、お子様がここから出てこなくなるだけでなく、そのまま寝てしまいそう…とのことで床座のままに。それでも普段からずーっとここを使われているらしく、やっぱり人間は狭いほうが落ち着くんだなということを改めて実感。この住まいで他にもチャレンジしたことは、トイレの窓の有効活用。一般的にトイレの窓は換気や明るさのために窓を設けますが、コンパクトな住まいの場合、それだけではもったいない。この住まいでは玄関ホールの抜けた視線としっとりした明るさ確保のため、トイレの窓も景色を切り取る窓として採用しています。陰影礼賛の話をしたことを覚えていますが、その通りの使い方をしていただき、またこの窓の存在をほめていただき設計者としてとてもうれしく思いました。 点検時にお聞きする最後の内容は使用エネルギーがどのぐらいなのか?脱炭素社会に向けて、少ないエネルギーで快適に過ごすことは、建築屋の使命でもありますので出来る限り聞き取りをするようにしています。この住まいは熱交換の1種換気を採用し、C値は0.2程度。エアコンは冬用の床下エアコン6帖用と、2階の夏用エアコンの2台。簡易的な全館空調となっています。オール電化で光熱費も高くなっている中で、このエネルギー使用量はすばらしいと思います。太陽光はついていないため創エネはできませんが、エアコンを使わない月はおおよそ350~400KWhほど。電気代にして12,000円前後。エアコンを使うと、夏場、冬場共650KWhほど。エアコンの分は250~300KWhぐらいでしょうか。1日10kwh使わないぐらい。1月の電気使用量と、8月の電気使用量はほぼ同じぐらいなのに、電気代が5000円ほど変わっているのは、改めて今後上がり続けるであろうエネルギーコストの怖さを感じました。 コンパクトで居心地がよく、打ち合わせの時のように話がはずみあっという間に1時間半経過。Eさま、コーヒーとおやつご馳走様でした。今後も引き続きよろしくお願いいたします。次回は2年点検ですが、その前にぜひ撮影させてください(汗)。