COLUMN住まいの情報

2022年11月の記事(10件)

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断熱材を使い分ける理由。

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弊社ではグラスウール,ネオマフォームという2種類の断熱材を,使う部位,物件によって使い分けています。結論を先にお伝えすると『コスト』と『施工精度』を大事にしているからです。同じ断熱性能分の厚みを弊社の『コスト』で比較するとネオマフォームはグラスウールの2.35倍ほど高くなります。『施工精度』とは…同じ断熱材でもちゃんと入れた場合となんとなく入れた場合とで実際の性能値が最大で2倍ほど違うこともあります。100㎜の断熱材でも入れ方で50㎜分しかきいてないってことです。断熱と防湿の精度の高い施工はとーーーーっても難しいということは知っておく必要があります! 最初にグラスウール  弊社ではパラマウント硝子工業のフルカットサンを使っています。グラスウールはコスト面でお値打ちで,使いやすい材料ですが高い施工レベルが必要になります。一般的な壁はわりと簡単に施工できるので,丁寧な施工を心掛ければ一定の性能は確保できます。難しいのは障害物がある場合と屋根面を施工する場合。障害物の廻りは断熱材を丁寧にカットし,どうしても難しい箇所はウレタンなどを吹き付けて補填する必要があります。屋根面は吊り木と呼ばれる木材があるとそのまわりを隙間なく埋めるのはほぼ無理です。おおよその施工になります。また屋根は平らでないため,断熱材のカットをその屋根勾配に合わせて丁寧にやらないと隅の方では必ず断熱欠損がおこります。最後にグラスウールを使った場合は湿気対策として防湿層を施工する必要がでてきます。湿気は小さな隙間でも入ってくるため,連続させることが重要ですが,現場では連続させることが困難な個所が山ほどでてきます。対策を考えて施工をしない場合,連続させることはほぼ不可能でしょう。施工が難しいので,コストはお値打ちでも手間がとてもかかるのがグラスウールの特徴です。 次にネオマフォームネオマフォームはコストが高いのですが施工精度の面でとても有利です。弊社ではネオマフォームを外断熱で使うようにしていますが,家じゅうをすっぽり覆うようにして施工します。外側から貼るため,目視でスキマが見つけやすく,目地を気密テープで止めていくので気密層がつくりやすくなります。施工手間はネオマフォームの方が少なくてすみます。外断熱の場合,防湿層が不要になるので電気配線と防湿面のわずらわしさから解消され結露の心配がぐっと減ります。またネオマフォームは防火面でも認定が取れているため,木の外壁を施工する際の相性もバッチリです。製品コストが高い点は手間の削減で補うことが出来ますが,グラスウールのような吸音性がないため,室内の反響音が気になることがあります。施工の点で雨が降っている時や,雨でぬれた次の日など施工をすることが出来ないので,外断熱を覆うまでの雨養生の手間がかかります。濡れたまま施工した場合,その面は二度と乾きませんので間違いなくカビが発生することになるでしょう。 この2つの特徴をお施主さまにお話しし,理解をしていただきながら断熱の提案をしています。合わせ技も使いますし,どちらか片方だけということもあります。そこは単純に『コスト』と建物形状による施工難度に伴う『施工精度』を加味いたします。 余談ですが弊社の最近の住まいではUa値は0.3ぐらい,気密性能はC値0.3ぐらいですがこのぐらいだと,12月ぐらいの外気温でも無暖房で現場内はとても暖かく感じます。しっかりした高断熱住宅にしたい方,遠慮なくお問合せ下さい。お問合せはこちらから。ここに書いていない断熱材□吹付ウレタンフォーム□セルロースファイバー□調湿系断熱材(木質断熱,羊毛断熱等)以前使っていたこともありますが,なぜ選択肢からはずしたのか・・・,知りたいマニアックな方もぜひお問合せ下さい。わかりやすくご説明いたします。

吹き込みグラスウール。

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豊橋市で施工中のSさま邸。先日屋根面の吹き込みグラスウール施工を行いました。これまで屋根面にグラスウールを手詰めしていましたが,施工の難易度がとても高いのが難点でした。丁寧に丁寧に施工しても,屋根面には吊り木といわれる天井下地,細かな部分が多くありけっこう難しい。そこで今回は細かなグラスウールを吹き込むやり方を採用いたしました。材料自体が小さなグラスウールなので,細かな部分も隙間なく施工が進みます。十分な量のグラスウールが入ると,吹き込んだ部分は湾曲にふくらみ,さわってもパンパンに吹き込まれているのがわかります。一通り作業を終え,吹き込みが足りなさそうな部分は指摘させていただき,最後はアナログ的に手で補填して終了。性能内覧会に来ていただいた方は実感されていましたが,現場はすでに暖かいです。日射熱による採熱のみの保温になりますが,床を貼っている大工さんは半袖でした。大工さんは応援で別会社の現場に行くことがあるのですが,冬になると足元キンキンに冷えて作業効率が落ちるそうです。。。(汗)うちの現場は冬暖かく,夏涼しく快適に作業できています。住む方だけでなく,現場の方にもやさしい高断熱仕様となっています。

6帖エアコン1台 暖かさ体験会

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いつもホームページをご覧いただきありがとうございます。ひたすらに値上げの続く光熱費に対し,少ないエネルギーで快適に暮らせこと,45坪のボリュームに対し6帖用エアコン1台での『暖かさ体験』をしていただくイベントです。 □  床暖房がないとね…。□ 今の時代,全館空調が当たり前でしょ。□ 寒い時期だから電気代がかかるのはしょうがないよ。と思われている方に参考にしていただきたいです。ご予約はこちらから どこでも購入可能な6帖用エアコン。それで満足できる体感ならその方がよくないですか?信じられない方,信じたくない方,足元から暖かい空間をご確認ください。日程      12月3日(土)~12月18日(日)時間      10:00~16:00                ※予約対応のみ  1枠1時間程度              ご予約はこちらから             ※  ご希望の日時を教えてください場所     ニコハウス設計室 事務所隣 リノベモデル注意     密を避けるため、入室は1組づつ予約のみ。             マスクは必ず着用とし、 体調の悪い方はご遠慮下さい。建物の特徴HEAT20 G3グレードUa値 0.26  C値    0.8薄暗くなった時間の落ち着ける照明計画も見どころです。ご予約はこちらから

夜のお引渡し。

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田原市で施工させていただいたKさま邸。先日引き渡しをさせていただきました。これまで住んでいた築40年ほどの住まい。とにかく寒くて,暖かい家にしたい!というのがとても強く印象に残っています。方位が南に正対しているような条件のいい敷地でしたので,その方位に素直な設計を心掛けました。そのため引き渡しの際,18時過ぎでも無暖房で23.3℃ありました。旦那さんはずっと暖房が入っているものだと思っていたらしく,そういう反応は私自身も素直にうれしかったです。晴れの日はほぼ無暖房ですごせるのではないかなと思います。しつこいようですがとにかく暖かい家をとのことで,暖房計画もいろいろお話しさせていただき床下エアコンを採用。暗い中での引き渡しはかなり久しぶりで,とても新鮮な感じがしました。お引渡しを終わり,庭からご自宅を見た際に『照明のついた姿がまた素敵ですね』といっていただきました。設計しておいて偉そうですが私もそう思いました(笑)これから本格的な冬が来ますが,暖かい家で家族仲良くお過ごしください。また引き続きよろしくお願いします。

ラウンジピットの居心地。

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田原市で完成したAさま邸。完成のチェックと掃除に行ってきました。弊社では引渡し前の掃除を業者に依頼せず,自分たちでするようにしています。理由は細かい部分まで自分たちの目で見て,触ることで施工上のキズなどを見つけられるからです。また施工させていただいたことに対して,施工中お世話になり,ありがとうございました,最後の責任は自分たちの手でということも含まれています。この建物はリビングにラウンジピットという彫り込まれた空間があります。そこに引き出し収納がつきますので寝そべって掃除していますが,あらためてラウンジピットのこもり感の良さを感じることが出来ました。ただの平面だと居場所がなく,落ち着きのない空間になってしまいますが,一段下がっているだけで不思議な落ち着きが生まれます。お施主さまはヨギボーをおくといっていましたが,そういった使い方はぴったりだと思います。ラウンジピットの奥行は3m程度,幅は2m程度と畳3,4枚の空間ですが落ち着く大きさです。段差に腰掛けることも出来るので来客時も安心です。これから点検した箇所の手直しに入ります。Aさま引き渡しまで今しばらくお待ちください。 掃除している日は外気温 16.7℃でしたが室内 1階は22.0℃でした。2階は22.7℃この建物はどちらかというと閉じた住まいなので,日射熱取得は苦手な建物ですが,真冬にならない限りは暖房はいらなそうです。

完成物件の気密測定。

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田原市で完成したKさま邸。掃除が終わり,完成前の気密測定を行いました。ぎりぎりまで床下に潜ってそうじをしていましたのでちょっと汗かいてましたが,曇りの日でも十分に暖かい住まいです。施工中の気密測定はせず,完成時,実際に住んでもらう状態での気密測定をしています。その方がより実情にあっているなとおもうからです。最近はなんでもユーチューブに残しておこうと思っていまして,動画撮影も併せて行いました。話し方は上手になりませんが,ちょっとづつなれてきました(笑)気密測定をやり始めた頃はちょっとドキドキしていましたが,最近はだいぶ慣れてきました。入った空気感でなんとなく気密がいいか悪いかもわかるような気がします。そのせいもあって安心してみていましたがいつもと同じでC値0.4という数字でした。この物件も建具屋さんに作ってもらった玄関なので,既製品よりも数字が悪くなってしまいますが上出来です。その点は現在受けている講習でも指摘をされましたので今後の物件からメーカーの木製玄関ドアへと変更することにしました。3週連続の気密測定第一弾でしたが,次週からはメーカー建具での数値がでるのでC値0.2ぐらいにはなるかなという期待があります。

電気配線の打ち合わせ。

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豊橋で施工中のSさま邸。現場で電気配線の打ち合わせをさせていただきました。パッシブハウス的な要素をもった住まいのため,外断熱を終えた住まいはすでに暖かい。陽射しが差し込み,暖房いらずです。でもちょっとまぶしいかなとも思いました。2階は屋根断熱材がスタンバイ。断熱材にクッション性があるため,打ち合わせ中,お子様はソファーのように座ってくつろいでいました(笑)この物件の断熱は屋根に外断熱45㎜のネオマフォームが貼られ,内側の断熱はグラスウール16Kを210㎜。夏は屋根の断熱がとーっても有効に働きます。この家の心配な点は夏の暑さより,冬の暑さ。お施主さんとの話の中で,その対策にも触れさせていただきました。Sさま,配線打ち合わせお疲れさまでした。引き続きよろしくお願いします。

完成検査と造園工事。

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田原市で施工中のMさま邸。完成が近づき,建物に息を吹き込むための造園工事が進んでいます。どれほど素敵な建物を建てても,植栽がされない限り,魅力を引き出すことは出来ません。今回の建物の植栽部分はごくわずかですが,やってあるのとないのでは全く違って見えます。春先には新芽が芽吹き,夏には涼し気な木陰を落とし,秋には紅葉し,冬は葉が落ち,陽射しが差し込む。ゆらゆらと揺れている様子も時間の流れがゆっくり感じられ,贅沢です。ニコハウス設計室では建物計画前から造園工事の予算を必ず取るようにしています。そうしておくことで予算によって庭が削られ,結果的に魅力のない住まいになってしまうことがないように。完成検査では,担当した大工さんだけでなく,別の建物を担当している大工さんにも参加してもらいます。納まりを共通化していくこと,このやり方はよかった,このやり方は別の方がいいなど,たくさんの反省点,改善点も話し合えるからです。私が常に目指しているいい住まいは,施工がややこしくても成立しません。施工が難しいと,結果的にきれいな施工が出来ず,時間ばかりかかってしまうから。なるべくシンプルに,仕上げは丁寧に。よりよい建物を目指して大工さん共々,日々努力しています。

サッシ取付講習会。

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豊橋市で施工中のSさま邸。新建ハウジングさん主催,『【住まい環境プランニング・古川繁宏氏に学ぶ】施工で失敗しないHEAT 20・G2/G3実践塾』の2回目の現場講習会。今回はサッシの取り付け方法を学びました。古川さんたちには前日入りしていただき,講習会当日の説明用動画撮影と合わせて,実演していただきました。この部分はこれまでの一般的な取付方法とはぜんぜん違います。不具合の可能性のあるものをつぶし,もし起こっても水分が排出されること,長期的な気密性の保持が目的です。手間はこれまでよりもかかりますが,30年以上住んでいただく住まいの開口部。いままで以上の気遣いは必要です。講習会当日は天候が心配されましたがたまに雨がぱらつく程度でおさまりました。前回に引き続き,多くの方が参加され,窓の取り付け方法を真剣に学ばれて行きました。この取り付け方はこの地域でやられている方は間違いなくいません。でもまじめにやるとここまでするんだなということで,多くの工務店さんがこういったやり方をして,長寿命な木造住宅がふえるといいなと思いました。何事も今以上のやり方が存在しますので派手なデザインの部分だけでなく,地味だけど大事な部分の勉強の大切さを実感いたしました。次回の講義は12月に断熱の入れ方,調湿シートの接続実演+中間気密測定が待っています。控えていると現場の大工さんはペース配分が必要ですが,今のところ大丈夫そうです。

ビニールクロスを使わない理由。

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弊社は自然素材のみを使った提案をしています。大きな面積を占める天井と壁の仕上げ。一般的にはビニールクロスの仕上げがほとんどですが,当社では一切使用していません。なぜ使わないのか?とうことを防湿気密と合わせて書こうと思います。結論を先に書くと一番の理由は壁体内結露対策です。リフォームなどで壁紙を張り替える際,黒ずんでいるのは間違いなく結露によるカビです。いくら壁紙を張り替えても根本的な解決をしない限り,引き続きカビに悩まされます。 当社の壁の構成は以下のようになっています。壁の中に湿気を入れないことが最重要になってきますので外部では気密を取り,内部からは防湿層(湿気を入れない層)をつくります。当社では外部側にネオマフォームという湿気を逃がしにくい素材を使っていますので湿気を逃がすのは室内側です。そのため可変透湿シートというちょっとお高い素材で防湿しています。湿気は高い側から低い側へ移動します。壁の中の相対湿度が屋内より高くなった場合に,シートが防湿から透湿に変わり,湿気を屋内側に逃がしてくれます。イメージとして,冬は防湿で入れない,夏は透湿で逃がすという感じです。そのため壁の仕上げは湿気を通しやすいもの,しっくいや珪藻土,紙クロスなどで仕上げないと意味がありません。可変透湿シートを使っていても,ビニールクロスで仕上げるとそのクロスが湿気を通さないため無駄になってしまいます。『しっかり防湿しているから壁内には入りません』と言い切っているとしたらそれはうそになります。めちゃくちゃ丁寧に作っても入るリスクがゼロではないため,その対策をしておく方が間違いないということで部材の選定を行っています。 一般的によくつくられている建物で結露に対して大ピンチ!な壁はどうかというと屋内側には防湿ビニールやビニールクロスが貼られますので,屋外側に湿気の通しやすい面材を貼ってそちらへ逃がし,通気層を通って屋外に排出します。構造用面材の種類を選ばないと湿気が逃げていかず,壁の中にとどまり,壁体内結露の原因となります。構造用合板やOSB合板などは湿気が逃げないので,壁の中では結露リスクが高まります。さらに外部の通気層が大事で,横胴縁とした場合,エアホール胴縁と呼ばれる穴の開いた胴縁のみや,胴縁ごとに隙間をあけるような施工では通気量が足りてるように思えません。通気が足りないとどうなるかというと,壁に緑色の藻がついたり,胴縁のあるとことないとこで外壁の汚れの差がでてきたりします。湿気がとどまり,外壁の裏側で悪さをしている証拠です。いっそ構造面材を貼らないような施工はどうなの…?となりますがそもそも壁の中に外気が入りますので断熱が良くてもあまり意味がありません。コンセントの穴などから風がくるのは,防風層がしっかりできていないせいです。 こういった防湿,気密で重要なのはとにかく施工精度!請け負った会社や設計した人側はちゃんと図面に書いてあったりしますが,現場はそんなにうまくはいきません。職人さんの仕事を張り付いてみているわけでもないので,ほとんどの場合,防湿,気密は『このぐらい』で施工しているでしょう。湿気は小さな隙間でも簡単に行き来できます。 木造住宅を長持ちさせるには水分対策,とくに結露対策をしっかりしておくことが最重要です。壁体内結露がなくなるような施工精度の高さと施工者の理解が求められます。雨の日に,外断熱をやっている現場や,雨の次の日に屋根のルーフィングをやっている現場など…,工程が間に合わないのか見ていてとても心苦しくなります。お施主さんに指摘されなければいいのではなく,ちゃんとした施工をしていくのが請け負った責任だと思っています。