北欧の旅 その①。
豊橋市の工務店。ニコハウス設計室代表で一級建築士の鈴木です。
住宅建築を志している方は必ず触れることになる北欧の建築家アルヴァ・アアルト。
写真でみるだけでは空間の良さは絶対にわからないということで、1週間の北欧の旅 フィンランドへ行ってきました。
北欧の旅のブログは1回では書ききれないので、のんびりと10回ぐらいのブログになりそうですがお付き合いをください汗


日本を23時頃出発し、フィンランドについたのは朝5時頃。時差は-6時間なのでおおよそ14時間の飛行機の旅。
ヘルシンキ空港から2時間半ほどさらにバスに乗り、初めて触れるアルヴァアアルト 『サウナッツァロの村役場』に到着。(セイナッツァロは日本での呼び名で現地発音はサウナッツァロ)
あらためて約17時間後と思うとちょっとだけぞっとします。
アアルト建築の中でもファンの多い村役場。


中庭を囲うように、会議室や図書館などが配置されています。
レンガという素材の素朴さと木製サッシの組み合わせですが、経年美化をする素材は建物の魅力をより引き出しています。
この旅で何度もでてくる中庭ですが、フィンランドという自然環境の中庭は私なりの解釈として『自然から身を守りながら外部とつながり、少ない採光を存分に得る』ということを感じました。
回りの森には大きな角をもつヘラジカがいるし、冬になれば雪もたくさんふります。囲わないと無防備に自然とつながることになるからこその中庭。
フィンランドで直接見て感じることで日本の建築との違いを知りました。


中庭を囲うように明るい廊下が配置されていますが、窓際の厳しいコールドドラフト対策として、窓際ベンチ下にヒーターがあります。
その熱でベンチとなるレンガが蓄熱し、またコールドドラフト対策となって室内を暖めます。
このベンチの考え方は現代の日本の建築でも流用できる作戦です。
アアルト建築の室内窓際には必ず植物が現れますが、植物にとっても環境がよく過ごしやすいことでしょう。


村役場の議場が2階にあるのですが、そこまでの通路が色気たっぷりの魅力的な空間。
弱い太陽の光を呼び込むための高窓のやさしい光と影。
陰影礼讃の日本の建築を思い起こさせる空間です。
議場も必要以上に明るくなく、心地よい。私が議員なら眠ってしまいそうです汗


議場の上には装飾兼構造となる木製の梁がありますが、このあたりは説明を聞かず写真撮影と実物を見るのに必死でした。
改めてこの梁が何なのか勉強が必要です。
1つ1つの空間や間取りだけでなく、細かな部材まで丁寧に設計されているのがとても美しいのですが、現代の住宅建築ではコスト高もありとてもできないことだなと感じます。


図書館はさきほどの議場の薄暗さとは変わり、明るい空間の中に。
今後ひたすらに登場するアルテックの照明たち。
何度も登場する高低差のひな壇処理。
触りごこちのいいオリジナルの取って。


フィンランド到着1件目の視察から満足度は120点。
写真で見てきたアアルト建築ですが、実物に触れることが出来たのは今後の私の住宅建築に大きな意味をもたらす濃い1週間になりそうな予感がしました。
こんな見学がまだまだたくさん続きます。
飽きずにお付き合いをよろしくお願いいたします。