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住まいの情報(93件)

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リフォームの優先順位を考える。

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新築から10年~15年もすると機器類が壊れたり,生活スタイルの変化で直したい部分がでてきます。そうだ!リフォームをしようということになりますが,今回は弊社がおすすめする優先順位を紹介いたします。一般的には目に見える部分から手をだしたくなるので一般的な考え第一位:外壁塗装第二位:水廻り第三位:クロスの張り替え第四位:床や間仕切り変更etcという順序になりがちですが,これらは変えた瞬間はよくなったと思えるのですが数か月もすると慣れてしまいますし,何より根本的な住み心地が改善されていません。弊社の場合は弊社のおすすめ第一位:断熱改修(できれば耐震も)第二位:庭リノベetc 外壁はサイディングであれば真っ先に再塗装するべきです。サイディングは塗装でもたせる防水なので塗装が怪しくなってくると基材となる木材繊維とセメントが吸水し(染み込む)サイディング自体の劣化がはじまります。サイディングは吸水しだすと強度がなくなってきますので,その際は張り替えなど大きな費用がかかります。余談ですがこういうこともあって弊社では塗膜頼りのサイディングは一切使っていません。 水廻りは機器類が壊れたという決定的なことがない限り優先順位を低く考えることをおすすめします。理由は生活をする上で,新しくなるだけで快適性において何も変わらないからです。新しくしてもしばらくすると飽きます。クロスも同じだと考えています。 塗装,水廻り,クロスの張り替えは,よほどのことがない限り会社ごとの違いはありません。どのメーカーを選ぶのかの違いだけだからです。技術の差でなく,各社の提供金額差だけなので,弊社ではつながりのある方以外,依頼をお断りしています。 弊社おすすめ第一位の『断熱改修』は住み心地が劇的に変わります。 高断熱の住まいを体験することが一番なので弊社リノベモデルを体感されるのがおすすめですが,これまでの住まいは何だったんだ?!というぐらいに過ごしやすくなります。電気使用量が少なくても広い範囲を暖めたり涼しくしたりできますので経済的です。家全体をやらなくてもエリア断熱といって家の一部を高断熱化することも可能なので居住時間の長いLDK+水廻り+寝室をやるのは生活がその中で完結でき,快適さが体感できます。断熱するのが一部分すぎる,例えば水廻りだけとかだと効果は感じずらいのでそれなら設備交換型のリフォームで対処したほうがいいでしょう。また地震がくるのはわかっていることなので予算があるなら合わせて耐震改修することをおすすめしています。徹底的にやれば暖房なしでもこれまでの住まいより快適に過ごせます。高断熱化の際の注意点は気密化と湿気対策です。気密化はかなり浸透してきましたが湿気対策はまだまだ一般的になっていません。なんとなく高断熱高気密にすると逃げ道のない湿気によりカビの発生,木材腐朽にもつながるため,依頼先の知識と施工レベルが重要となります。 弊社おすすめ第二位は『庭』です。見落としがちですが,庭がよくなると住まいとしての居心地の良さが変わります。大きな窓があってもカーテンをしているお宅がたくさんありますが何のための窓でしょうか?!窓の先に魅力的な『庭』がなく,人目が気になるから閉じてしまう。大きな窓を開け放ち,庭とつながったリビングは劇的に居心地がよくなります。人目が気になるなら植栽や木塀などで目隠しをしてあげればいい。季節を感じられる庭での食事は外食以上の特別な時間とゆとりをもたらします。こういったことは設備の更新やクロスの張り替えでは体験できません。 最終的には予算によりますが,違った角度からリフォームを考えると劇的なリノベーションへとつながります。大きな費用がかかりますのでなんとなく決断してしまう前に,ちょっと立ち止まって考えるとよりよいリノベーションとなるはずです。

室内の『空気質』を考える。

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全館空調にするのか,第一種の熱交換換気にするのか,メンテナンスを考え第三種換気にするのか?どれにするか考える際に室温のことは気にされても『空気質』のことはなかなか考えないかなと思いましたので今回は『空気質』のことについて書こうと思います。 コロナ禍になってから大型のショッピングモールや飲食店などでも二酸化炭素濃度計がおいてあるところが増えました。住宅においては二酸化炭素濃度の理想は1000ppm以下とされています。屋外は400ppm程度だそうなので換気が予定通りの動きをしていれば自宅を調べる限り,在室時も1000ppm以下で推移します。 でも換気が予定通りの動きをしていない場合,1000ppmは簡単に突破してしまいます。自宅の寝室で換気扇を止めて実験。寝苦しさを感じ,朝には3000ppmを突破していました(汗)空気が滞留している場合,当たり前のように1000ppmを突破します。昔,居間で灯油ストーブをつけているといつの間にか寝てしまっていたりすることがあったと思いますが二酸化炭素濃度が高くなると眠くなります。気密の高い自宅でエタノールストーブをつけると,キッチンの換気扇を強でつけても1300ppm程度を保ってしまいます。このぐらいの濃度だと人間に害はないらしいですが,こまめにデータを見ているとどうにも気になります(笑) 問題は換気経路がうまく働いているのか?ということ。第一種換気の場合,1つのモーターで給気と排気を行うため換気量の設定が適切なら二酸化炭素濃度は一定以下に保たれるはずです。…があとは換気経路の問題で,個室入口付近に給気口があったりすると奥の方は空気が滞留した状態になってしまうため,換気がうまくできていないことがあります。なるべくなら個室ごと,給気と排気のダクトを配置できれば『空気質』は問題ないでしょう。 難しいのは自宅で実験している第三種換気。自然給気は個室などでとり,排気をトイレやお風呂などでするというもの。気密が高ければ素直に換気できそうですが,実際は理想通りに!とはなっていません。原因ですが,換気扇モーターはそれぞれ個別運転で風量の大小でけんかをすることがあり,給気は風の影響を受け,給気,排気とも家じゅうにちらばっているから。給気,排気が1か所しかなければ素直に働きますが,壁付け第三種の場合,換気扇から遠いところは換気量を測定してもほとんど給気していません。自宅でトイレの換気扇をまわし,寝室から自然給気しても,朝起きると2300ppmほどまであがっていました。空気が滞留している証拠です。個室の自然給気口を壁付け換気扇に変えたところ800ppm程度で落ち着くようになりました。ついていればOKだと思っていましたが実際に計ってみて,いろいろ試してみると壁付け第三種の難しさを感じました。 ちなみに換気の量はこんな感じで1か所づつどのぐらいの風量がでているか測ります。 二酸化炭素濃度で説明しましたが,湿度に対しても同じことが言えます。高気密になってきている分,湿度の排出がうまくいかない場合,屋内でカビの発生する恐れが大きくなります。カビは一度発生すると駆除するのが大変です。やりすぎなぐらいに対処を考えておくことをおすすめします。おせっかいですが,弊社で新築1年目の方には遠隔確認のできる測定器をおき,その室温,湿度,『空気質』を見守り,状況がよくない場合は改善提案をしています。室温だけでなく,湿度と『空気質』も住まいにとっては重要です。 これから新築やリフォームするけど,心配だなーと思った方,まずは検討中の会社さんにその心配をぶつけてみてください。それでも心配な方,大切そうだけどよくわからない?って方,ぜひお問合せ下さい。お問合せはこちらから。ちょっと長い説明(笑)とどうしたほうがいいのかのご提案をいたします。換気方法をどれにするのがいいのかも実証に基づいたお話をさせていただきます。

高性能住宅 電気代の違い。

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電気代の請求を改めてみてみると,昨年と比べ本当に高くなったことを実感いたしました。住み始めて1か月経ちましたリノベモデル兼自宅の電気料金を温湿度と合わせてお伝えいたします。先にお断りしますが弊社の使用しているヘムスでの計測になりますので実際とは,ずれがあるかもしれませんのでご了承ください。また洗濯機だけ別の場所にあるためこの電力に含まれていません。みなさまのご家庭,また今後の住まい計画の参考になれば幸いです。 リノベモデルのスペックですが坪数 45坪 オール電化Ua値 0.26 C値 0.8使用エアコン  6畳用エアコンを床上吹き出し壁付けの一般的な第三種換気まずはおきまりの室温です。室温はおおむね22℃をキープしています。第三種換気で外気の影響を受けますので湿度は低く,30%台で推移しています。ここが1種換気と決定的に違うところです。純粋な湿度を確認したいため加湿は行っていません。乾燥感を感じますが,慣れてきたせいか最近はあまり気にならなくなりました。次にその室温を保つためのエアコンの電気使用料です。22日(私の誕生日)ころからエアコンの使用電力が増えていますが,外気もマイナスだったりするような気温のため,それまでの設定温度21℃から23℃に変更いたしました。室内を22℃に保つためのエネルギーが増えているのがよくわかります。28日が最高で1日あたりのエアコン使用電力は9.6KW使っています。電気料金と再エネ賦課金で32円ぐらいとして1日307円ほどです。その日の全体の使用電力は15.2KW,KWあたり32円として1日486円でした。1月の中旬まではエアコン1日あたりの平均電力量は4KW程度でしたので気温が下がるとエアコンの電力が倍ぐらい必要になることがわかります。 最後に1か月の電気使用量です。エアコンで使った電力量が140KW  電気料金と再エネ賦課金で32円ぐらいとして1月の空調代は4480円ほどです。全体の使用電力は345KW  電気料金と再エネ賦課金で32円ぐらいとして1月の全体電気代は11,040円ほどです。洗濯機だけ別においてありますので1日あたり0.4kwを追加しても400KWにもみたない使用電力量です。基本料金をたしても最近の高い電気代で15,000円ぐらいかなと思います。最近では電気代が5万円を超える家も珍しくありません。それでいて家の中に寒い場所があったりするわけで,性能とそれを実現する間取りの工夫などはこの先30年を考えるととても重要だなと感じます。弊社のような住まいと一般的な住まいとでは年間の電気代が20万円とか変わってくることでしょう。そうすると30年で600万円。高性能な住まいの方がいいように思います。『電気代が高くなって困っているよー』という方,新築でもリノベでも住み心地まで全て変わります。お問合せはこちらから。いい住まいが増え,使用エネルギーが減っていくことを願います。おまけでこの住まいの電気代シミュレーションも貼っておきます。うちの場合共働きで調理時間が短いため,その部分が少ないんだろうなと思います。このシミュレーションはKW単価32円でみています。

エアコン1台の室内環境。

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弊社の冬エアコンですが,基本的に1階に設置してあるエアコン1台を利用いただき,室内の温度を一定に保つような設計をしています。床下エアコンのお宅も,床上のエアコンのお宅も同じです。体験に勝るものはないので年末休みの間に自宅兼リノベモデルへ生活拠点をうつしました。これからは実体験をもとに説明していくことができ,そこで使っている電気使用量や熱環境もお伝えしていけます。 直近で寒かった日は1月4日。最高気温が6.8℃,最低が1.0℃で日照がほとんどない1日。室温は家じゅう22℃~23℃で一定に保たれています。寒い外からこういう住まいに入った時の感覚ですがすぐに暖かいというわけではなく,なんとなく暖かく時間がたつにつれ体が温まっていきます。ファンヒーターなど火を使った高温の輻射熱でなく,壁や床がエアコンの熱によって暖められた低温の輻射熱による暖房だからです。長時間室内にいると体が慣れ,私は靴下なしでもすごせます。女性の方は靴下を履いているぐらいでちょうどいいようです。就寝時はシャツ1枚の上に羽毛布団を1枚かけて寝ています。これまで寝る際のあったか靴下を20年以上手放せなかった妻ですが靴下をはかなくなり,朝までゆっくり寝られるようになりました。羽毛布団1枚で寝ていると夜中に暑くなることがあるぐらいです。室内を温熱カメラで見てみると窓廻りはどうしても弱点になりますがどこもほぼ同じ温度。寒くないですか?といわれる土間も同じ温度です。土間は蓄熱するよう墨モルタルで仕上げていますので晴れた日は床よりも暖かい温度になり,徐々に放熱されます。外は本当に寒いのか疑うような室内環境が普段提案している室内環境になります。 大事なのはその室温を保つためのエアコン電気使用量ですが1時間あたり150W~200Wの電気で室温が保たれています。日中に陽が差し込む日はその時間帯のエアコンは100W以下に減ります。この日の一日のエアコンの使用量は3.982KWでした。1KW30円として1日120円ぐらいの電気代。検索で床暖房のランニングコストを調べるとだいたい同じぐらいでした。でもガス床暖房は8帖用で8時間だったので24時間ついてるエアコンと比較してはだめですね。電気ストーブとホットカーペット併用の場合だとおよそ4時間で同じぐらいの電気代です。どちらも部分的にしか暖かくないので快適なのは家の一部だけ。夜中に起きても,トイレに行っても,凍えながら生活することになります。 家じゅう暖かい環境に慣れると,どこでも24時間暖かいので夜中に目が覚めて寝れなくても,リビングが暖かいし,トイレに行くのもお風呂に行くのも寒さを忘れます。もう元には戻れません。無駄な設備にお金を使うよりもしっかりした住まいを計画し,長期的に快適な住まいを作っていくことをおすすめします。少ない光熱費で快適な冬を過ごしたい方へ,お問合せはこちらから。いい住まいが増えることを願っています。

耐震等級3にも違いがある。

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最近ではどの会社のホームページにも耐震性能のことが記載され,『耐震等級3』が当たり前になってきました。でも知っている人からすると『ん…?!やばそう』という建物が施工例にアップされていたりします。同じ『耐震等級3』でも無理のない『耐震等級3』と,無理しまくった『耐震等級3』があることは知らないと思います。別に無理しまくっていても『耐震等級3』ならいいよという方には読まないでください。難しい構造を解くのを得意としている会社さんもあるためすべてに当てはまるわけではありません。 結論を先に書くと耐震というのは建物に加わった力がスムーズに地面に流れることが大事になります。また梁は太いと丈夫という感覚は間違っています。太くしないと構造が成立しないからです。だから構造が成立するならばなるべく小さな梁の方が建物が軽くなり,コストも有利になります。 無理している耐震等級3にありがちなポイント その①バルコニーがセットバックしている。参考のパース。間取りはその②にあります。こんなふうに1階のリビングの上に大きなバルコニーがあり,2階の部屋が1階リビングの上に浮いているような間取り。この場合,2階の壁の力は床を支える梁に伝わり,1階の壁に伝わっていきます。あみだくじのように力が流れますが梁の上に壁があるためとても大きな梁がでてきます。梁は大きいと自重でたわむため,2階の床がふわふわした感じになります。長期的に見ても徐々にたわみ,いずれ建具の開閉に支障がでることでしょう。 その②リビング階段が細長くかかっていてその下に柱がない。参考間取りはこちら。その①の話もこちらを参考に。階段の上は吹き抜けなので2階の床の梁は階段と並行にしかかかりません。にもかかわらず,階段横に柱が全くない場合,梁の浮いている長さが4mとかになります。こんな感じの部屋。梁は2階の床荷重や,間仕切りの壁の荷重を受けるので大きな梁が登場します。その①と同じく床はいずれ自重でたわみます。 その③吹き抜けが建物の角にある+階段が吹き抜けとは別の位置にある。参考の間取り吹き抜けが建物の角にある場合,2階のレベルにある梁は耐風梁といって風の力に対抗する梁になります。もしくは全て通し柱にすることもありますが,どちらにしても吹き抜けている場所は横からの風に対抗する梁がないため強風時2階床レベルが一番動きます。クロスが切れていたりするのはそのためです。その吹き抜けに階段があればいいのですが別の場所にある場合,2階の床に大きな穴が2つできることになります。そうすると水平構面といって地震力などに対し有効に働く床が少なく,とても弱くなります。 その④ 1階柱がない位置の2階に耐力壁がある。これは梁上耐力壁といって,知っている人はまずやらない方法。やっている住まいはたくさんありますが,耐力壁があればそれでいいという認識なのでそうなってしまいます。梁上の耐力壁は地震時,梁自体に大きな力が加わります。またその梁から柱へ伝える部分でも大きなせん断力(柱と梁のつなぎを切る力)が発生します。接合金物もしっかりしたものを付けないと力が地面に伝わりません。 まだまだありますが上記に書いた4つは『耐震等級3』になるかといわれるとがんばればたぶんなります。(③はかなり怪しいです)でもかなり無理しています。これを壁量計算で解決しようとするとすんなりOKがでます。梁が負担する力を一切確認しいないためです。危ないなと感じた間取りの参考は耐震等級3を記載するある住宅会社にあった施工例から復元しています。 『耐震等級3』は間取り決定し,契約が決まったのち計算をし,壁の量や柱をふやして取るものではありません。それはおおよその判断が出来ていないという証拠です。判断に困る方の依頼した『耐震等級3』,構造チェックは…?!。はりぼて『耐震等級3』かどうかはお施主さんの知識も必要になってきます(汗) 東南海トラフ地震は政府発表にて30年以内に70~80%の確率で起こるとあります。ニコハウス設計室は自信をもって強い住まいを提案しています。

断熱材を使い分ける理由。

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弊社ではグラスウール,ネオマフォームという2種類の断熱材を,使う部位,物件によって使い分けています。結論を先にお伝えすると『コスト』と『施工精度』を大事にしているからです。同じ断熱性能分の厚みを弊社の『コスト』で比較するとネオマフォームはグラスウールの2.35倍ほど高くなります。『施工精度』とは…同じ断熱材でもちゃんと入れた場合となんとなく入れた場合とで実際の性能値が最大で2倍ほど違うこともあります。100㎜の断熱材でも入れ方で50㎜分しかきいてないってことです。断熱と防湿の精度の高い施工はとーーーーっても難しいということは知っておく必要があります! 最初にグラスウール  弊社ではパラマウント硝子工業のフルカットサンを使っています。グラスウールはコスト面でお値打ちで,使いやすい材料ですが高い施工レベルが必要になります。一般的な壁はわりと簡単に施工できるので,丁寧な施工を心掛ければ一定の性能は確保できます。難しいのは障害物がある場合と屋根面を施工する場合。障害物の廻りは断熱材を丁寧にカットし,どうしても難しい箇所はウレタンなどを吹き付けて補填する必要があります。屋根面は吊り木と呼ばれる木材があるとそのまわりを隙間なく埋めるのはほぼ無理です。おおよその施工になります。また屋根は平らでないため,断熱材のカットをその屋根勾配に合わせて丁寧にやらないと隅の方では必ず断熱欠損がおこります。最後にグラスウールを使った場合は湿気対策として防湿層を施工する必要がでてきます。湿気は小さな隙間でも入ってくるため,連続させることが重要ですが,現場では連続させることが困難な個所が山ほどでてきます。対策を考えて施工をしない場合,連続させることはほぼ不可能でしょう。施工が難しいので,コストはお値打ちでも手間がとてもかかるのがグラスウールの特徴です。 次にネオマフォームネオマフォームはコストが高いのですが施工精度の面でとても有利です。弊社ではネオマフォームを外断熱で使うようにしていますが,家じゅうをすっぽり覆うようにして施工します。外側から貼るため,目視でスキマが見つけやすく,目地を気密テープで止めていくので気密層がつくりやすくなります。施工手間はネオマフォームの方が少なくてすみます。外断熱の場合,防湿層が不要になるので電気配線と防湿面のわずらわしさから解消され結露の心配がぐっと減ります。またネオマフォームは防火面でも認定が取れているため,木の外壁を施工する際の相性もバッチリです。製品コストが高い点は手間の削減で補うことが出来ますが,グラスウールのような吸音性がないため,室内の反響音が気になることがあります。施工の点で雨が降っている時や,雨でぬれた次の日など施工をすることが出来ないので,外断熱を覆うまでの雨養生の手間がかかります。濡れたまま施工した場合,その面は二度と乾きませんので間違いなくカビが発生することになるでしょう。 この2つの特徴をお施主さまにお話しし,理解をしていただきながら断熱の提案をしています。合わせ技も使いますし,どちらか片方だけということもあります。そこは単純に『コスト』と建物形状による施工難度に伴う『施工精度』を加味いたします。 余談ですが弊社の最近の住まいではUa値は0.3ぐらい,気密性能はC値0.3ぐらいですがこのぐらいだと,12月ぐらいの外気温でも無暖房で現場内はとても暖かく感じます。しっかりした高断熱住宅にしたい方,遠慮なくお問合せ下さい。お問合せはこちらから。ここに書いていない断熱材□吹付ウレタンフォーム□セルロースファイバー□調湿系断熱材(木質断熱,羊毛断熱等)以前使っていたこともありますが,なぜ選択肢からはずしたのか・・・,知りたいマニアックな方もぜひお問合せ下さい。わかりやすくご説明いたします。

ビニールクロスを使わない理由。

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弊社は自然素材のみを使った提案をしています。大きな面積を占める天井と壁の仕上げ。一般的にはビニールクロスの仕上げがほとんどですが,当社では一切使用していません。なぜ使わないのか?とうことを防湿気密と合わせて書こうと思います。結論を先に書くと一番の理由は壁体内結露対策です。リフォームなどで壁紙を張り替える際,黒ずんでいるのは間違いなく結露によるカビです。いくら壁紙を張り替えても根本的な解決をしない限り,引き続きカビに悩まされます。 当社の壁の構成は以下のようになっています。壁の中に湿気を入れないことが最重要になってきますので外部では気密を取り,内部からは防湿層(湿気を入れない層)をつくります。当社では外部側にネオマフォームという湿気を逃がしにくい素材を使っていますので湿気を逃がすのは室内側です。そのため可変透湿シートというちょっとお高い素材で防湿しています。湿気は高い側から低い側へ移動します。壁の中の相対湿度が屋内より高くなった場合に,シートが防湿から透湿に変わり,湿気を屋内側に逃がしてくれます。イメージとして,冬は防湿で入れない,夏は透湿で逃がすという感じです。そのため壁の仕上げは湿気を通しやすいもの,しっくいや珪藻土,紙クロスなどで仕上げないと意味がありません。可変透湿シートを使っていても,ビニールクロスで仕上げるとそのクロスが湿気を通さないため無駄になってしまいます。『しっかり防湿しているから壁内には入りません』と言い切っているとしたらそれはうそになります。めちゃくちゃ丁寧に作っても入るリスクがゼロではないため,その対策をしておく方が間違いないということで部材の選定を行っています。 一般的によくつくられている建物で結露に対して大ピンチ!な壁はどうかというと屋内側には防湿ビニールやビニールクロスが貼られますので,屋外側に湿気の通しやすい面材を貼ってそちらへ逃がし,通気層を通って屋外に排出します。構造用面材の種類を選ばないと湿気が逃げていかず,壁の中にとどまり,壁体内結露の原因となります。構造用合板やOSB合板などは湿気が逃げないので,壁の中では結露リスクが高まります。さらに外部の通気層が大事で,横胴縁とした場合,エアホール胴縁と呼ばれる穴の開いた胴縁のみや,胴縁ごとに隙間をあけるような施工では通気量が足りてるように思えません。通気が足りないとどうなるかというと,壁に緑色の藻がついたり,胴縁のあるとことないとこで外壁の汚れの差がでてきたりします。湿気がとどまり,外壁の裏側で悪さをしている証拠です。いっそ構造面材を貼らないような施工はどうなの…?となりますがそもそも壁の中に外気が入りますので断熱が良くてもあまり意味がありません。コンセントの穴などから風がくるのは,防風層がしっかりできていないせいです。 こういった防湿,気密で重要なのはとにかく施工精度!請け負った会社や設計した人側はちゃんと図面に書いてあったりしますが,現場はそんなにうまくはいきません。職人さんの仕事を張り付いてみているわけでもないので,ほとんどの場合,防湿,気密は『このぐらい』で施工しているでしょう。湿気は小さな隙間でも簡単に行き来できます。 木造住宅を長持ちさせるには水分対策,とくに結露対策をしっかりしておくことが最重要です。壁体内結露がなくなるような施工精度の高さと施工者の理解が求められます。雨の日に,外断熱をやっている現場や,雨の次の日に屋根のルーフィングをやっている現場など…,工程が間に合わないのか見ていてとても心苦しくなります。お施主さんに指摘されなければいいのではなく,ちゃんとした施工をしていくのが請け負った責任だと思っています。

季節の変わり目の室温の違い

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秋らしくなり,朝晩はずいぶん冷え込むようになりました。自宅兼用のリノベモデルで寝起きをするようになり,約20年前,この仕事をする前に建築された我が家との温度差には日々驚かされます。実際の比較対象があることはとくにリノベーションを考えられている方には興味深いことだと思います。私自身はめちゃくちゃ興味があって,頻繁に測定をしていますのでそれをお伝えいたします。結論を先に伝えると朝起きて,断熱のいい住まいでは暖かさを感じるのですが断熱の悪い家では寒さを感じます。測定した日は前日が雨で気温が上がらず最高気温17℃,測定した朝は18℃の日です。 最初に断熱性能の悪い方の家。20年前の住宅の性能値:Ua値 0.85  C値は未測定(スカスカです)グラスウール10Kで 屋根壁ともに100㎜程度  床は スタイロ30㎜程度興味深いのは家が小さいのでUa値だけを見るとこの地域の基準Ua値0.87よりちょっといいところ。いつも使っているシミュレーションソフトで近しい気温の日を選んでシミュレーションしてみると外気温が2~3℃違いますが寝室が19.3℃になっています。それで実際の気温が20.1℃でした。 一方断熱のいい方の家。リノベモデルの性能値:Ua値 0.24    C値 0.8グラスウール16K換算で 屋根は400㎜相当 壁は200㎜相当 床はスタイロを120㎜相当同じくシミュレーションソフトで近しい気温の日を選んでシミュレーションしてみると先ほどの家よりもオレンジ色が多くなり,暖かそうに見えます。同じく外気温が2~3℃違いますが寝室が21.3℃になっています。実際は24.1℃でした。 この4℃の差を『4℃だけか』と思うか『4℃も違う!』と思うかは人それぞれですが,行き来をしてみるとその快適さの違いを肌で感じることが出来ます。感じ方はまったく違い,寒い側から暖かい側に入ると『暖房をしているのか?』と思えるぐらいです。 これからまた寒い冬が来ます。無駄にお金のかかる全館空調に頼るよりも断熱気密計画をしっかりしたほうが,快適さもイニシャルコストも抑えられ,住んでいる間ずーっと快適さを保てます。断熱気密に気を使った家づくりをしていますのでご興味あればお問合せ下さい。お問合せはこちらから。当たり前の快適さを提供しています。

高気密高断熱住宅の過ごし方。

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ニコハウス設計室では点検を3か月,1年,2年,5年,10年に伺わせていただきます。一般的な点検と合わせて,大切にしていることの一つに『住まい方』があります。住まい方とは快適に過ごすための家の使い方のようなものです。高気密高断熱住宅は住み方を間違えると,快適に過ごせなくなることがあるからです。 検討中の方とのお話の中でよくある内容『高気密高断熱住宅は冬場暖かいですか?』その通り暖かいです。日差しをしっかり取り込むことを意識した住宅であれば無暖房でも20℃程度の室温は確保できます。夕方になっても高断熱が味方をして部屋の温度をある程度保ってくれるからです。『高気密高断熱の住宅は夏涼しいですか?』エアコンをつかわなければ涼しくはありません。いくら日差しを遮っても外気温が高ければその影響を受け,部屋は温まります。夜になり涼しくなっても,高断熱高気密が邪魔をして部屋はなかなか冷えません。森や水辺の近くなら,冷えた空気が入るため過ごせますが,一般的な地域でエアコンなしはとても過ごせないでしょう。エアコンさえ入れてあげれば下がった室温はキープされ涼しく過ごすことが可能です。点検に伺った際に設置させていただいている温湿度のデータと合わせ,住まい方を改めてお伝えしています。よくある失敗例として『もったいないからエアコンを消す』という行動。これは絶対にやめてください。エアコンで冷やす行為には『空気の温度』を下げることと『壁,天井,床,さらには設置されている家具』を目的室温に近づけることが想定されます。空気はエアコンで早めに冷やされますが,壁天井や家具などは熱の伝わりが遅いためなかなか冷えてくれません。だから,エアコンを付けてもすぐに冷やすことが出来ず,暑く感じ,せっかくの高気密高断熱でも快適に感じなくなってしまいます。 冬はわりと簡単。でも夏はわりと難しい。 高気密高断熱住宅と夏の戦いはまだまだ続きます。さまざまな工夫をしながら少ないエネルギーで過ごせるよう,日々勉強を続けています。

換気の方法を湿度中心に考える

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住宅の室内環境において温熱の環境と同じくらい大切なことが換気の方法です。ニコハウス設計室では2022年現在,第一種熱交換換気をおすすめしています。(以前は第三種換気をすすめていました(汗)先日,新住協の勉強会にてパナソニックエコシステムズ㈱さんに行ってきましたので,第一種換気を選んでいる理由を含めて『湿度』の観点からお伝えします。 建築基準法上,室内の空気は1時間に0.5回交換されなくてはいけません。30坪ぐらいの家だとざっくり300立米ぐらいの気積(体積)があります。0.5回となるとその半分の150立米が外気と交換されている計算になります。150立米というとよくあるレンジフードの弱運転ぐらいを家のあちこちでしましょうということです。 よく使われる方法として第一種換気 (機械給排気)と第三種換気(自然給気と機械排気)があります。先に第三種換気ですが外気そのままを取り込みますので湿度も外気そのままのものが入ってきます。例えば梅雨の時期 天候が雨だった場合,第三種換気では1時間に3.1kgの水分が入ってきます。ペットボトル2本分です。これを第一種換気の全熱交換に変えると,温度と合わせて湿度のやり取りが『熱交換素子』という部分で起こります。(しくみは文章では伝えずらいので興味あれば直接話します)その効果により室内に入る水分は1.9kgまで減ります。ペットボトル1本ちょっとです。1日に換算すると28.8kg ペットボトル19本分の差です。大きめの除湿器の能力が1日20リットルとかなので,第一種の熱交換を入れただけでもそれと同じぐらいの効果があるということです。パナソニックエコシステムズさんの体感ルームでの写真ですが 第三種換気の場合赤く囲った湿度が65.3%を示しています。27℃設定のエアコンのある室内に入りましたが,涼しい感じはなく蒸し蒸しした暑さを感じました。25℃設定ぐらいにしないと気持ちよさは感じないでしょう。 第一種熱交換換気の場合赤く囲った部分,湿度が39%を示しています。同じく27℃設定のエアコンの室内ですがこちらはさらっとしていて涼しさを感じます。27℃設定でも十分に過ごせます。 冬はどうなるかというと…ざっくりですが第三種換気で室内湿度30%台,全熱交換の採用で室内湿度45~50%となり,ウイルス対策にもなります。湿度の面だけみてもとても大きな差があります。 この差をどう考えるのか?換気の方法の選択に有効にお使いください。換気の方法はこれ以外に『温度』『消費電力(暖冷房機器にあたえる効果の違い含む)』『メンテナンス』の差があります。全てを書くととても長くなるので今回は『湿度』についてをものすごく端折って書きました。興味があればお伝えしますので遠慮なくお声掛けください。長く(汗)なりますので覚悟してください。(笑)ご予約はこちらから。みなさま,よろしくお願いします。

構造チェックはお早めに。

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ニコハウス設計室では許容応力度計算による耐震等級3を標準としています。最終的に安全であればどのタイミングで計算をしても問題がないかもしれませんが後になればなるほど,検討の余地がなくなります。どういうことかというと・・・ 間取りが決まり,いよいよ着工だというタイミングになると間取りの中にほしくない壁が出来たり,天井部分に不必要な化粧梁が出たり。それがないと『耐震等級3』になりません。そんな壁はいらないって思っても,なくすと強度が不足します。大きな梁が出てしまった場合,その梁の大きさを小さくしようと思うと上の荷重を受ける柱を追加するしかありません。同じくそんな柱はいらないっていうと390以上高さのある大きな梁が登場します。大きな梁がたくさんあるのは丈夫な家というわけではありません。構造上厳しい部分がたくさんあるから背の高い梁ばかりになるわけです。当たり前ですがその分構造の材料が高くなります。『階高(1階から2階の高さ)』が高い建物はそうなっても困らないための対処法だと思っています。階高が高いということは毎日登る階段の段数が多く必要になります。…と書き続けると構造の検討はなるべく早い方がよさそうだなーってことはわかるかなと思います。 ニコハウス設計室では階高を2520と決めています。階段の段数は12ないし13段。多くの工務店で採用している3000の階高に比べると階段の段数は3段程度少なくなります。らくちん♪さらには外壁などの面積が減ったり,建物の容積が減るので断冷房費に有利だったり,あとは見た目も良くなります。いいことばかり。 梁の大きさは屋根や床の荷重を受け,それをどのぐらいの面積負担しているのかで決まります。だからなるべくシンプルな構造にしています。ポイントは屋根から基礎まで素直につながる柱。通し柱である必要はありません。同じ位置にあればOK。もし間取りを進めているのでしたら,1階と2階で同じ位置にある柱が何本あるか数えてみてください。そしてその柱が3640㎜以内に並ぶかどうかも大切です。ちょっとわかりにくい内容ですが,ご参考に。いい住まいは構造がしっかりしています。なるべく早めの構造検討をおすすめします。着工前の構造検討だけはお気を付けください。

冬の断熱材と気密の効果。

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11月も半ばを過ぎ,朝晩はずいぶんと冷えてくるようになりました。断熱と気密がいいと何が違うのかを具体的に書こうと思います。今回のテーマは『冬の断熱材と気密の効果』です。 シミュレーションも大事ですが実際の温度が何より正しいと思いますので,測ってみました。比較するのはUa値0.9  10Kと呼ばれるグラスウール100㎜が使われている我が家。目安は約25年ぐらい前からの家。(もしかすると変わらない施工をされている大工さんは最近でもこれです)もう1件はリノベモデル Ua値0.27  ニコハウスの標準の住まいより少しいい性能。 11/19  6:20   外気温は   7.2 ℃断熱の悪い,昔建てた我が家。床が冷たいなーと思って測ってみると 1階の床は15.1℃,壁が15.9℃,昨晩エアコンを使っていた2階は床が18.7℃,天井は19.6℃でした。上下の温度差で約5℃。サーモカメラで寒い原因のアルミサッシ廻りを見てみると12.3℃を示してました。室内との差は8℃近くにもなります。露点温度はもうすぐそこ。もう少しすると結露が表れてくる数字です。 断熱のいいリノベモデルを計測してみます。入った瞬間ほんのり暖かいのですが床は19.0℃,壁が18.9℃で吹き抜けた屋根面は19.1℃。上下の温度差はまったくありません。同じく窓廻りを見てみると木製の性能のいい窓ですが17.1℃。室内との差は2℃程度。ちなみに断熱した土間も測ってみると土間床ですが18.5℃なので床や壁などと0.5℃しか違いません。誤差の範囲です。 同じ19℃ぐらいの室温でも,断熱のいい住まいと悪い住まいとでは感じ方が変わります。それは床や壁,天井,サッシの周りの温度差が違うからです。我が家の2階リビングは確かに19℃あるのですが寒く,暖房を一切入れていないリノベモデルの19℃は入った瞬間ほんのり暖かい。これは言葉でなく実体験でないとわからないと思います。リノベモデルの現在の1階と2階の温湿度はこちらから。リノベモデルは現在 6帖用のエアコン1台を可動させています。グラフを見るとわかりますが1Fと2Fの温度差が誤差程度です。 これに合わせて気密がかかわってきます。リノベモデルはC値0.8で,寒い我が家はC値,測定不能(5.0とかでしょうか?)です。我が家にいるとコールドドラフトに代表する空気の動きを感じ,気密も悪いので外気の流入があるように感じます。リノベモデルではコールドドラフトがないのもあって空気の動きは感じません。この気密も体感にかかわっているなという実感があります。 なんとなくいい断熱を使ったり,やたらと気密の数字を追ったりすることでなく,実際に住んでみた時の体の感じ方が大事になってきます。寒くなってくると動きが鈍くなり,ヒートショックの危険性もでてきます。新しく住まいを作る際も,リノベーションをする際にもすみごこちにかかわってくる断熱と気密。 全館空調に代表する爆エネを使った快適性は地球環境を考えても,10年後の機器の故障やメンテナンスを考えても,いいと思えません。未来の子供たちに住みやすい地球を残すためにも,少ないエネルギーで快適に過ごせる住まいが必要だと思っています。家づくりの参考に なれば幸いです。