メンテナンスを考えた素材選びをしよう

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豊橋市の工務店。ニコハウス設計室代表で一級建築士の鈴木です。

今回のテーマは『メンテナンス性の良し悪し』

住まいはメンテナンスフリーなはずがありません。(不老不死は存在しません)どんな素材でも必ずメンテナンスをする必要があります。

メンテナンスのお伝えの仕方が世の中的に間違った情報が多いように感じるのでお伝えすることにいたします。

 

弊社が考えるメンテナンス性のいい素材の選択方法ですが、

①廃盤がないこと

②どこの工務店でもお施主さまでも手入れができること

この2つを基準に素材を提案しています。

 

弊社が新建材系の素材を使わない理由の1つになっていますが、とにかく廃盤。

キッチンでも室内の扉でも床材でも外壁でもビニールクロスでもいいのですが、新建材を使う場合ほとんどの商品がメンテナンス性の良さを売りにしています。

確かに5年から10年程度使う場合は、表面の清掃性の良さがあり(ビニールなので)手入れがしやすいように感じます。

お値打ちだし…、だからアパートではこの素材が多いわけです。

問題は10年~20年経つあたりになるわけですが、どんなことが起きるかというと

■キッチンが汚くなったらリフォームで新品と取り換え←扉や材料などが廃盤だから変えようがない

■室内の扉のシートがめくれる←同じ柄はとっくに廃盤、リフォームで取り換えるしかない

■シート系床材←表面が汚れ汚くなったけど手入れのしようがない、リフォームで張り替えるしかない

■ビニールクロスが汚れて部分的にはがれてきた←プロでないと張り替えれない、張り替えのため一時的に引っ越す?

新建材系のほぼすべての材料で20年後には廃盤になってますので部分取り換えは不可能。だから大幅なリフォームが必要になるでしょう。

必要なリフォームならいいのですが、再び同じような材料を使えばその先にまた同じことが待っています。

私が考える廃盤がないというメリットは

■造作キッチンが汚くなった←扉だけ交換もしくはDIYでやすりかけしてオイル塗装

■室内扉が汚れてきた←同じくやすりをかけオイル塗装、色を変えることもできます

■無垢の床がぼこぼこ←ホームセンターで電動やすりを借りて再塗装をチャレンジ

■しっくい壁が汚れた←部分的に補修しましょう

すべての材料において、(がんばれば)お施主さま自身でのお手入れが可能です。

また材料には廃盤がありませんので20年後も問題なく手入れが可能。壊れたものは部分的に作り変えることもできます。

とくに私が違和感を持つ材料が長く美しい状態を保つ外壁や屋根材。

自然界にある材料で30年などまったく変化がなく生まれたままの状態のものは存在するのでしょうか。

その材料は40年たったらどうなるのでしょうか。

最初にお伝えした通りメンテナンスフリーという材料は存在しません。

それに近い材料はありますが、実際には手入れをすることは少なからず必要なわけです。

私は長くほったらかしにするよりも、定期的にチェックをしながら悪い部分を直せるほうが自然に馴染む当たり前のことだなと思っています。

弊社が杉板外壁をよく使う理由は、さきほどの廃盤がないからという理由だけでなく部分的に直すことがそれほど難しくないから。

継ぎ目なく仕上げた外壁は部分的に直そうと思うと、場合によっては一面すべてをやり替えないとパッチワークのようになり見苦しくなります。

雨漏りはしない方がいいですが、絶対にしないとは言い切れません。

万が一雨漏りしてしまった際に手を入れやすいのは部分で直せる外壁しかありません。

30年は大丈夫かもしれませんがお子様が住んでいるかもしれない60年後はどうでしょうか。

外壁の全面張り替えなんてものすごく大変です。リフォームではよくお伝えしますが『負の遺産を残さない』ことが大事です。

 

こうした視点になると、私が絶対に使わない方がいいなと思うのがコロニアルと呼ばれるサイディングと同じ素材の屋根材。

高級な大手ハウスメーカーでも頻繁に使っているお値打ちな屋根材。

防水性能は塗装由来です。

さきほどの外壁と同じく長く美しさを保つのかもしれませんが、あくまで塗装によるもの。

サイディング系の素材は塗装が傷んでくると、サイディング自体が吸水するようになります。セメントでできていますので吸水をすると徐々に強度が保てなくなります。

よく再塗装しているのを見かけますが、強度のなくなったサイディングは塗装をしても何も解決しません。コロニアルの屋根も同じく。

そういった場合、おおよそ表面だけでなく、裏側からも水分を吸っています。一般の方では気づけないでしょう。

また塗装屋さんの知識が貧しいとよかれと思って通気層をふさいでしまうことも多々あります。高温高湿度の空気を外壁や屋根裏で受け止め続けると表面が膨らみ始めます。

波打っているサイディングは表面でなく裏面でダメになっています。

塗り替えでもきれいになればいいわけではなく、建築的な知識が必要なのです。

じゃあ木の外壁は大丈夫なのか?といわれれば、部分的には腐ってしまうこともあるでしょう。

でもその部分だけ張り替えることが可能です。

水を吸うじゃないか。といわれることは正しいのですが、乾くからいいのです。

乾けば木材そのものの強度を保ちます。

自然界に存在するもので長持ちするものはたいてい、吸水するが乾くと元に戻るもの。

石、レンガ、瓦、木、土など。

自然素材を売りにしているわけではありません。

自然素材の方が圧倒的にメンテナンスがしやすいからです。

だから床材だけ無垢でビニールクロスなんてよくわからない組み合わせはいたしません。それは材料だけに着目している悪い例です。

ニコハウス設計室ではすべての材料が様々深い意味を持って提案しています。

初期費用だけでなく30年以上先を見据え、メンテナンス性のいい材料を選びましょう。

みなさまの家づくりのご参考になれば幸いです。