いい間取りは間取りだけではつくれない|構造と外観を同時に考える設計
豊橋市の工務店。ニコハウス設計室代表で一級建築士の鈴木です。
豊川市で建築計画中のOさまは約5年ぐらい前(いや、もっと前かも)から見学会に何度も足をはこんでいただいた方です。
土地探しから進めていましたが、ご実家すぐ近くの土地が売りに出たよということで購入をお勧めいたしました。
土地購入には何かしらの背中を押してくれることが必要だと思います。
予算や土地の大きさなどずっと悩まれていたことを知っています。悩むということは、いい点もあるけど何かがひっかかっているということ。
その点今回の土地は実家近く。もともとできれば実家が近い方がと探していた。
『迷わず購入してください。住まいは私に任せてください。』という流れで土地契約にいたりました。


55坪という決して大きくない敷地に出来れば3台分の駐車場。
庭は小さくてもいい…、でも私としては庭を楽しむ家族の暮らしをあきらめてほしくない。
そんな想いでプランニングをさせていただきました。
要望をお聞きするときに
①1階でないと困る部屋
②2階でもいい部屋
をお聞きし、その要望に沿ってプランをいたしますが、どの方も当たり前ですが1階の方が大きい。
そうなると難しいのが2階のプランニングです。
なぜかというと、2階の方が圧倒的に小さくなるから外観をまとめにくいのです。
外観を無視したり、構造を無視したりすると簡単にプランができますが私が納得できません。


プランや外観は必ず先人のすぐれた建築家が様々な計画を実践しているケースが多い。
どこで建築の勉強をしても必ず先生方から言われる言葉として『過去事例を研究し真似をしろ』というのがあります。
建築知識が貧しいうちは、何かと自分で考えて提案しようとしがちですが真似る方がよほどいい建築になります。
もちろん形をそのままコピーするという意味ではなく、優れた建築がなぜその形になったのか、空間の構成や考え方を学ぶという意味です。
今回は江戸東京たてもの園にある巨匠、前川國男さんの自邸をイメージし、お施主さまの要望を取り入れました。
大きさが違いますしお施主さまの要望もありますので同じではありませんが部屋の構成など含めて意識して計画しました。


そこに私が普段やっている『可能な限り距離の取れる部分で視線の抜けを作る』を実践。
2階建てになりますので、上下階のつながりを意識してプランニングをいたしました。
最大距離で10mぐらいは視線が抜けていきます。
こうした計画を可能にするのは初回提案から許容応力度計算での耐震等級3を確認しているから。
初回プランだからあとでもいいや…ではなく提案するプランはすべてそのようにしています。
間取りを決めたあとから耐震等級3にしようとすると、柱や壁が増えたり、梁を大きくする必要が出たりと、どこかに無理が生じる可能性があります。
大きな梁が必要になれば、その分構造コストも上がります。
お施主さまからそのお金をもらえばいい、お施主さまの希望の間取りだから…では建築士として失格だと思っています。

徹底的に安全に配慮し、高性能化は標準仕様。
その上にデザインやいい間取りがあり、そのすべてがお施主さま家族の暮らしにフィットした時に、ほんとうにいい住まいになるのだと思います。
Oさま提案いかがでしたでしょうか。
ご検討よろしくお願いいたします。