家は建物だけでは完成しない|大屋根の家と庭づくり

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豊橋市の工務店。ニコハウス設計室代表で一級建築士の鈴木です。

豊川市で施工中のTさま邸。

お施主さまのご要望であった『大屋根の家』も、大工工事がおおよそ完了し、先日外構工事の打合せをさせていただきました。

あいにく当日は雨。

外構の打合せなので、できれば晴れてほしかったところですが、建物の方は大工工事がおおよそ終わり、間取りや空間の広がりがしっかり分かる状態になっています。

お施主さまにも初めて階段を上がっていただきました。

図面や打合せで何度も説明してきた空間ですが、やはり実際にその場所に立ってみると感じ方は違うものです。

とても感動していただけたようで、私自身もうれしく感じました。

家づくりは図面から始まりますが、図面で暮らすわけではありません。

実際にその場所に立ち、窓からの景色を見たり、天井の高さを感じたりして、初めて分かることもたくさんあります。

今回もそのことを改めて感じました。

この住まいは、お施主さまから大屋根の家にしたいというご要望をいただいて設計を始めました。

ただ、大きな屋根をかければいいというわけではありません。

この敷地は角地で、北側にも住宅が建っています。

お施主さまのご要望をかなえることはもちろんですが、北側のお宅への日当たりも大切にしたいと考えました。

そこで、道路側からの建物の高さを抑えながら、大屋根越しに北側のお宅へ日差しが届くよう屋根の形を考えています。

建築基準法を守っていれば、それだけでいいのか。

私はそうは思いません。

新しく家を建てることで、周りの方の暮らしも少なからず変わります。

だからこそ、できるだけ周囲に配慮することも設計者の仕事だと思っています。

外観は杉板の外壁に、大きな屋根をかけた落ち着いた佇まい。

奇をてらうのではなく、この地域の景色に自然と馴染むような住まいにしたいと考えました。

ところが、足場が外れて晴れた日に改めて見てみると、思った以上に目立っています。

周りには新建材を使った住宅が多いためか、木の外壁と大屋根の組み合わせが、かえって目を引くようです。(笑)

目立たせようと思って設計したわけではないんですけどね。

ただ、私はこういう普通の形をした家が好きです。

屋根があって、軒があって、木の外壁がある。

特別な形をつくるのではなく、一つ一つに理由があって、その結果として外観が整っていく。

そんな住まいが、何十年経っても飽きずに愛されるのではないかと思っています。

さて、今回の外構打合せ。

建物の形が見えてきたことで、庭とのつながりや植栽の位置も、より具体的に考えられるようになりました。

弊社では、庭や植栽を建物とは別のものとして考えていません。

どこに木を植えるのか。

道路からどんなふうに見えるのか。

室内から窓越しにどんな景色が見えるのか。

そうしたことも含めて、住まいの設計だと思っています。

今の外観も十分いいと思っていますが、植栽が入れば、おそらく8割増しぐらいで良く見えるはずです。(笑)

木の外壁と植栽は相性がいいですし、建物の足元に緑が入るだけで、街並みへの馴染み方も大きく変わります。

今は少し目立っているこの住まいも、庭ができることで、周囲の景色に自然と溶け込んでいくのではないかと楽しみにしています。

家は建物だけでは完成しません。

建物があり、庭があり、周りの街並みがあって、初めて一つの住まいになるのだと思います。

大工工事が終わり、いよいよ完成が近づいてきました。

でも、私としては植栽が入った姿を見るまでは、まだまだ完成とは言えません。

Tさま、もう少しお待ちください。

ここからさらに良くなりますよ。